積ん読のまにまに。
本書は、「読む側にとってわかりやすい文章」を書くための作文技術を教える本です。私達が文章を書くときに参考にすべきルールや考え方を学ぶことができます。例えば、修飾する語順はどうすれば良いか・句読点をうつか/うたないか・いつ改行して段落とすべきか、というようなことです。私達は、日本語で考え・話し・書くので、日本語で作文を行う際に驚くほど意味不明な文法を使うことはありません。しかし、書き終えた文章を読み返したとき、「なんだか読みにくい」と感じることはあります。それは、このように書けば「わかりやすい文章」になるという方法やルールを知らないからです。もしかしたら、「わかりやすい」という判断基準が曖昧なのかもしれません。
わかりやすい文章に関係するものとして、修飾語の順序・句読点・助詞の使い方・段落などの要素があります。これらの要素が適切に用いられないと、「意味を取り違えやすい」「修飾の関係が明確でなく読みにくい」「文の構造がねじれて意味がわからない」「論理的構成が見えづらく主張が伝わらない」などの「わかりにくい文章」を書いてしまうことがあります。本書では、わかりやすい文章を書くために必要なこれらの要素について、原則・ルールを導き、そのルールに従った場合とそうでない場合の比較・分析を行いながら説明が進んでいきます。終盤は、紋切型や体言止めの使用を控えること・文章自体が笑ってはいけない等の、文章の表現方法についても説明があります。
日本語の作文技術 - 本田勝一 著
本の構成
- 第一章 なぜ作文の「技術」か
- 第二章 修飾する側とされる側
- 第三章 修飾の順序
- 第四章 句読点のうちかた
- 第五章 漢字とカナの心理
- 第六章 助詞の使い方
- 第七章 段落
- 第八章 無神経な文章
- 第九章 リズムと文体
まとめ・感想
本書で説明している作文技術の多くが実用的で、文章を書くいろんな人の役に立つと思います。例示や分析が多い部分もありますが、それだけに、腑に落ちる感覚を得たときは嬉しいです。読み進めていくと、日本語の言語としての特徴や文法について改めて考えさせられる場面があり、日本語に対する新たな発見などもありました。文章の書き方について調べれば、たくさんの情報が得られます。ネット上にはコンパクトにまとめてあって使いやすいものもありますが、折に触れてこの本のような「文章技術の本」を読むことで、日本語についてゆっくり考えてみるのも良いと思います。当たり前の日本語ですが、意外な学びがあるかもしれませんよ(^-^)/