積ん読のまにまに。
人間は、損失を回避しようとする傾向が強い動物です。この性質を利用すると、他人を説得するときや物を売りたいと思うときにスムーズに話をすすめることができます。このようなマーケティング技術は、心理学を基にしているものがたくさんあり、「そういうカラクリがあったのか!」と驚くものも多いです。これらを理解すると、私たちの生活やインターネットの情報でもたくさん利用されていることがわかります。最近は、わかりやすい本も多いので、関係業種でなくても一読してみると面白いことがみつかるかもしれませんよ!
マーケティング技術とは?
マーケティングとは、「売れる仕組みづくり」と言われます。顧客のニーズを深く分析して最適な販売戦略を練ることが重要です。なかなか奥の深い分野です。今回は、ちょっと面白そうで役に立つ「心理学」を応用した販売活動を通して、その世界をのぞいてみようと思います。
なるほど!心理学を応用した巧みなマーケティング技術
人間は損失を回避する動物
人は、「利益獲得」よりも、「損失回避」を好む動物です。例えば、投資について考えたとき、「これから投資で利益を得ましょう」というのと、「投資を始めなければ利益を得る機会を失いますよ」と薦められるのでは受ける印象が異なります。後者の「損失にフォーカスを当てた」ほうが、投資を始めようという気持ちになるかもしれません。この手法は人の「損失回避」をうまく利用した一例です。人のニーズに訴えるには、色々な視点が必要です。
相手の要求を何度も断りにくい返報性の原理 ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
人は、誰かの要求を拒否すると、断ってしまった後ろめたさを感じるものです。お店に入ってまず提案される商品は、ちょっとグレードが高くて高価なものです。まずは最初の「拒否」を引き出しておいて、徐々に商品の水準を下げていくことで、「何度も断ると悪いしなぁ」という「お返し」の心理に働きかけるようにします。結果、交渉を有利にすすめることが出来ます。セールスマンが、ドアが開いた途端に顔を突っ込んでこの手法を用いていたことから、「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」と呼ばれるそうです。
行動感染を引き起こす
人は、集団行動を重んじる動物であるため、周りと同じ行動をとると安心し、そうでない場合は不安を感じやすいと言われます。従って、行列ができていたり、ワゴンセールで人山ができていると興味をひきやすくなります。レストランなどでも外から見える席に先に案内するのはそのためです。ビジネスでは、このような人の心理を利用して「賑い」を演出することもよく行われています。
そのほかにも色々と
- シャルパンティエ効果
ビタミンなどで「レモン1個分配合」よりも「1000mg配合」と書かれる方が効果がありそうに感じます。表記の単位や比較対象を変えたりすることで受け取る印象を変えることができます。
- 希少性の法則
入手困難なものほど「欲しい!」という気持ちを強く掻き立てます。「限定20個」とか「あと2時間でオークション締切」と言われると、なんだか欲しくなってしまうことがあります。時には冷静な判断も必要です。
- フレーミング効果
「起業後5年以内に経営を軌道にのせるのが20%」と「起業後5年以内に倒産するのが80%」では、受ける印象が大きく異なります。選択肢の表現の違いによって選好に大きな影響を与えます。
- 現状維持の法則
人は現状維持に安心を感じ、変化を嫌うものです。ビジネスにおいても、そのような性質を利用したものがあります。一度契約するとなかなか変えないもの、たとえば、携帯電話のキャリア・生命保険や自動車保険・定期預金・メルマガ購読など。
- カリギュラ効果
「やってはいけない」と言われると、ついやりたくなります。「つるの恩返し」や「浦島太郎」もそうです。人間の心理とは不思議なものです。インターネットの広告などでも、あえて「絶対に他人に教えないで下さい!」と書くことで興味をひく方法があるそうです。
参考にした本